Windows8以降のOSでは「高速スタートアップ (ハイブリッド・ブート)」という機能がデフォルトで搭載されています。これはパソコンに電源を入れてから操作画面に移るまでの時間が高速化されるというもので、この機能はWindows10にも引き継がれています。
▼目次
高速スタートアップという機能
Windows8/ 8.1/ 10では、パソコンの電源を切る時にシャットダウンすれば完全にシャットダウンされているように思えますが、内部的には「高速スタートアップ」をするための「休止状態」になっているというだけで「完全なシャットダウン」状態ではないのです。
これは知らなければ「完全なシャットダウン」状態になっていると思っている人も多いかと思いますが、実は違うのです。
ちなみにWindows XP、Windows7にはこの機能が搭載されていません。それ以降のバージョンでは「完全なシャットダウン」からの「コールド・ブート (フル・ブート)」 機能がデフォルトで付いています。
高速スタートアップのデメリット
「高速スタートアップ」は起動が速くなるというものなので一見便利で快適になるように思えますが、メリットの部分だけではないようです。高速スタートアップの仕組みを知っている人の中には「高速スタートアップ」を無効化する場合が多いようですが、実際にどんなところがデメリットになるのでしょうか。
不具合がおきる可能性が
「高速スタートアップ」を無効化にする理由のうち、大抵が不具合が起きる可能性があるのでそれを回避するためにあるそうです。
BIOS/UEFIの設定を変更したりシャットダウン後にデバイスを追加・変更してその後「高速スタートアップ」を実行したときに不具合が起きてしまう可能性があるのだとか。
デフォルトで「ON」になっている機能なので全てにおいて不具合が起きてしまうということはないのでしょうが、パソコン起動時の不具合の原因を特定すると「高速スタートアップ」だったということが結構あるようです。
「高速スタートアップ」ハイバネーションファイル
ハイバネーション (Hibernation=英単語意味…冬眠) はWindowsに搭載されている機能で、パソコンの電源を切る直前の状態をメインメモリに保存して、電源を入れた時に切る直前に作業していた状態からスタートできるという機能です。「高速スタートアップ」機能を実現しているのはこのファイバネーションファイル (hiberfil.sys)だといえます。
つまりカーネルというOSの核の部分はこの機能の働きにより休止状態になっているわけです。
Image : Delivering fast boot times in Windows 8 | Microsoft
上の画像は従来の「コールド・ブート」と「高速スタートアップ」を比較したものです。「Hiberfile.sys」に書き込まれたデータを読み込む (Read) ことで起動時間が大幅に短縮されているのがわかります。
このように「高速スタートアップ」は起動が起動速度を高速化するというメリットがありますが、前述したように不具合の原因にもなりかねないというデメリットもあります。
次の章ではこの機能を「オフ」にする方法を紹介したいと思います。
Windows10「高速スタートアップ」を無効にする
それでは「高速スタートアップ」を無効にする設定をしてみましょう。
コントロールパネルを開き、「ハードウェアとサウンド」を選択します。
「電源オプション」を選択。
「電源ボタンの動作の選択」を選択。
このような画面になるので、「現在利用可能ではない設定を変更します」を選択します。
すると画面は切り替わらず、同じ画面のままで「シャットダウン設定」が設定可能状態になります。「高速スタートアップを有効にする (推奨)」のチェックを外し「変更の保存」を選択すれば設定は完了です。
「高速スタートアップを有効にする (推奨)」という項目が現れない場合は、使っているパソコンが「高速スタートアップ」に対応していないということになります。
設定方法「その2」
「設定」からもいけます。開いたら「システム」を選択。
「電源とスリープ」→「電源の追加設定」を選択。
すると前述の「電源ボタンの動作の選択」と同じ画面に切り替わるので、同じように設定変更手順を進めていきます。
起動時間を比較計測してみた
この「高速スタートアップ」を無効にしているのと、有効にしている状態でどの位起動時間が違うのか比較してみました。計測方法はシャットダウン状態から電源をONにすると同時にストップウォッチを押し、起動したら計測をストップするという方法でいきたいと思います。
電源ONから操作可能画面になるまでの時間です。
「高速スタートアップ」ON
パソコン本体の環境にもよるかもしれませんが、複数回計測して電源入れてから起動までほぼ12、13秒の間で収まりました。ある程度キャッシュがある状態でも起動にかかる時間は同じようです。
「高速スタートアップ」OFF
こちらは電源を入れてから起動まで21、22秒ほどです。やはり「高速スタートアップ」をONにした状態と比べると断然遅くなってしまいますが、この程の差なら機能をOFFにしていてもさほど気にはならないともいえます。
今回紹介したようにWindows8から「高速スタートアップ」の機能が実装されましたが、それ以外にも起動を速くするための機能が加わたようで機能をオフにした状態でもWindows7やその前のOSバージョンに比べると起動時間がある程度は速くなっているといいます。
また「高速スタートアップ」をONにしていると起動はもちろん速くなりますが、作業データをメモリに保存しているからなのか電源OFFまでの時間が機能をOFFにしている状態より長くなっているようにも感じました。
まとめ
OS起動の仕組みの部分をもう少し細かく見てみたかったのですが、今回はハイバネーションファイルについてふれるだけにしておきました。また、このジャンルを書く機会があれば紹介したいと思います。
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